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2006-02-27 [バスケものレビュー]

最後のシュート

最後のシュート

  • 作者: ダーシー フレイ
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 単行本
 
以前,日本のバスケットボール界の厳しい状況について書いたが,この「最後のシュート」が描くアメリカのバスケットボール界の世界も次元は全く異なるが厳しい。
 
この本で描かれているのは,ニューヨークのスラム街を学校区とする公立高校のバスケットーボール部に在籍した選手たちが,大学そしてNBAを目指して行われる厳しい競争である。
 
この本で登場する選手たちのうちたった一人は,実際にNBA選手となり,信じられないくらいの高給を得る。しかし,その他の者の辿った路は実に哀れである。まさに,これが「アメリカの光と影」といわざるをえない。
 
家族を養うため,自分がバスケで奨学金を得て大学に行き,そしてNBA選手になり,家族に楽をさせたい,というプレッシャーの中でバスケをするという信じられない環境。さらに周りには夢破れた末にドラッグディーラーに成り果てた者が,彼らを誘い入れようとする・・・。本当に信じられない環境である。
 
そんな中,何とか大学でバスケをするという夢がかなった者でさえ,そのほとんどの末路は,あまりにも寂しい。
 
以前,「HOOP DREAMS」というドキュメンタリー映画を観て,感動したが,この本はそれを文字で表現したもの(実際には関係ない。念のため。)という感じのもののように思った。
 
 

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ファイブ レビューその2 [バスケものレビュー]

ファイブ

ファイブ

  • 作者: 平山 譲
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本
 
よく考えたら,この本を読んだ直後に書いたレビューがパソコンの中に残っていた。最近物忘れが激しくなっているので,このレビューの方が今書いたものよりきっとましなはずなので,以下あえて掲載することにした。
 
 

話の中心は,アイシン精機・・・アイシンシーホースというJBLスーパーリーグで活躍するチームの初優勝に至るまでのストーリーが書かれたものである。

そして,そのチームがなぜ,こうして文字として書かれるに値するチームであったのかということを考えると,この話が本当に訴えたかったのは何かということが見えてくる。

 

アイシンシーホークスの成功物語がこうした本になりえたのは,言うまでもなく「リストラ軍団」であったからである。

そして,この「リストラ」という言葉の背景にあるものが,この本の主題である。つまり,日本のバスケットボールを取り巻く環境がいかに厳しいものであるのかということを,この本を読むと痛感せざるを得ない。まさに,日本で頂点にたったチームの選手でさえ,こんな扱いなのか,と愕然とする。もちろんうすうすは知っているが,こうして文字で読むと,余計に痛感する。

しかし,一方で,このリストラ軍団がそれぞれの経歴,家族などを背中に背負い込みながら,それぞれアプローチは異なるにせよ,バスケットボールにひたむきに取り組んでいることも,痛感する。

 

まさに人生そのものである。

 

今まだバスケットボールをしている人に一度読んで欲しい。そして,次の言葉を心に刻んで欲しい。(以下,本文から引用)

 

「アイシンバスケットボール部チーム心得」鈴木貴美一

1,あらゆる体験がその人の大きな力となり,人生の支えになる。

1,難に遭遇した時こそ自分の真価を知る良い機会である。

1,苦境を味わう気持ちになった時すでに問題は解決に向かっている。

1,雨や嵐があってこそ晴れのありがたさがわかり,苦しみや悲しみを味わった人に本当の幸せがわかる。

1,一つの考え方にこだわっていると,新しい考え方は見つけられない。

1,個人の幸せはチームの繁栄が確立してこそ成り立つ。

1,与える時は人は豊かになり,惜しむ時命は貧しくなる。

1,異なる働きをしながら心を一つにあわせていくのがチームである。

1,思いやりの心が貧しいと気づかぬうちに人を傷つける。

1,勝った時はチーム全員の力。苦しい時一番惨めなことを考えられる人間になれ。

1,仲間の不足を思うのはその人間の一面しか見ていないからである。

1,井の中の蛙になるな。チームメイトと比較しないこと。スポーツは自分自身との闘いである。

1,過去の実績にとらわれていると,伸びるものも伸びない。実績は今から作るもの。

1,過去を自慢するものは進歩の止まった証拠。

1,逃避しないこと。一つのことができない人間は他のことができない。

1,十回やって一回勝てるとしたら,その一回を最初に持ってくればよい。

1,ベンチの中で一人でも負けるかもしれないと思えば,試合には絶対勝てない。

1,マイナス思考にならず,プラス思考で常にいること。前向きに考えることが運を呼ぶ。

1,欠点は人より時間がかかることなので,努力し長所を伸ばすことも決して忘れてはいけない。

1,練習では一番下手だと思い,試合では一番うまいと思え。

1,人が不幸になればいいなどと考えるな。それは最後に自分に返ってくる。幸せは精一杯努力して自分自身でつかむこと。

1,感謝する心が自分自身の幸せの基盤となる。

 

そして,今年のFIBA世界選手権の日本開催という日本のバスケットボール界にとって最大のターニングポイントを迎える。これをどう活用していくのか,この本に書かれたままなのか,サッカーに近づけるのか,その真価が問われる。


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日本のバスケ界 [バスケものレビュー]

今年8月にバスケットボールの世界選手権(サッカーで言えばワールドカップ)が日本で開催される。

我が町広島でも予選ラウンドが行われ,日本代表ほか計6か国が総当り戦を行うことになっている。

しかし,サッカーとは違い,そんな事実を知っている人すらあまりいない。地元の地方紙でも,時々大会を盛り上げようとする記事が見受けられるが,それでも多くの人の関心を呼ぶことはない。

一方で,日本のトップレベルでは,分裂してプロ化したリーグがあったり,最高峰のリーグが経営難で脱退するチームを出したりと,とても盛り上がれそうな雰囲気すらないような気もする。

そんな厳しい環境にある日本バスケットボール界の一端を理解することができる本として,「ファイブ」(平山譲著 NHK出版)を紹介したい。

ファイブ

ファイブ

  • 作者: 平山 譲
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本

 

この本の帯には,「リストラから始まる「敗者たちの」逆転ドラマ。」とあるが,要するにアイシンのバスケ部の話である。しかし,それぞれにドラマがあり,バスケに限らず,それなりにスポーツに打ち込んだ経験のある人ならぐっとくる場面も少なくない。

しかし,冷静に考えると,この本の主人公たちは,バスケットボールという日本でも最大規模の競技人口を誇るスポーツのトップ中のトップにいる人たちである。それにしては,何とも寂しい・・・。少なくとも日本では,競技人口としては多いものの「観るスポーツ」として発達していないということを改めて我々につきつけてくれる・・・そんな気がした。

とはいえ,個人的には,この競技を何とかして日本で盛り上げていきたいもんだと思う今日この頃です。サッカーだって,Jリーグできる前は全く「観るスポーツ」として発達していなかったのは事実ですから。そう考えていくと,日本人って「スポーツを観る」ということがへたなのか,好きじゃないのか・・・。


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