2006-02-27 [バスケものレビュー]
以前,日本のバスケットボール界の厳しい状況について書いたが,この「最後のシュート」が描くアメリカのバスケットボール界の世界も次元は全く異なるが厳しい。
この本で描かれているのは,ニューヨークのスラム街を学校区とする公立高校のバスケットーボール部に在籍した選手たちが,大学そしてNBAを目指して行われる厳しい競争である。
この本で登場する選手たちのうちたった一人は,実際にNBA選手となり,信じられないくらいの高給を得る。しかし,その他の者の辿った路は実に哀れである。まさに,これが「アメリカの光と影」といわざるをえない。
家族を養うため,自分がバスケで奨学金を得て大学に行き,そしてNBA選手になり,家族に楽をさせたい,というプレッシャーの中でバスケをするという信じられない環境。さらに周りには夢破れた末にドラッグディーラーに成り果てた者が,彼らを誘い入れようとする・・・。本当に信じられない環境である。
そんな中,何とか大学でバスケをするという夢がかなった者でさえ,そのほとんどの末路は,あまりにも寂しい。
以前,「HOOP DREAMS」というドキュメンタリー映画を観て,感動したが,この本はそれを文字で表現したもの(実際には関係ない。念のため。)という感じのもののように思った。
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